philosophy

「書が日本を救う」

本気で思っています。

 

広義的に言えば手で文字を書くこと。

字は自分自身であり、あなた自身です。

書は心画なり。

昔からある言葉ですが、その通りだと思います。

 

日を追うごとに手で文字を書くことが減っていく現代。

これは人間にとって非常にマイナスなことだと危機感を覚えます。

 

文字を書くことは人間にしかできない高度なことであり、

それをしなくなるということは、

脳を使うとても貴重な機会を失うということだからです。

 

性格や心境までがあらわれるという意味では

自己対峙の機会をも失うと言えます。

書はメジャーなようで実はマイナー、

少し掘り下げた問いを投げかけると、

答えられる人はまずいません。

 

例えば、

「文化勲章を受章した書家を一人でも知っていますか?」など…

 

おそらく日本人のほとんどが小さい頃に筆を持ったことがあり、

「習字」というものを学校や習い事などで経験したことがあるので、

なんとなく書についても知っているような感覚になるのでしょう。

 

これは知らない人が悪いわけではなく、

発信しきれていない書道をする側の問題だと思います。

ここにも大きな危機感を覚えます。

 

それが僕の書活動をする原動力の一つになっていることも

また、間違いありません。

 

書、そして手書きの魅力を何とかして

一人でも多くの方に知ってもらいたい。

 

この世界では50代になっても若手と呼ばれたりすることもあります。

では20代の私は一体何なんだ…と思うこともありますが、

今しかできない事、

今しか書けない字、

今だから耳を傾けてくれる事、

きっとたくさんあると思っています。

自分の未熟さは嫌というほどわかっています。

でも発信し続けます。

そして書道家と名乗るからには、

そこに技術が内包される字を書きたい。

 

技術的にも表現的にも、

また、活動の仕方においても様々な書道家がいます。

筆を持ち、それぞれが活動していくのは素晴らしいことです。

 

ただ、自分はその中の一人として、

書の歴史や伝統の継承、技術の追求、

これらを忘れずに、一生の課題として取り組んでいくつもりです。

 

ただ、書を見慣れていない方には、

技術の有無などはわかりにくいのも事実です。

だから直感で、もっと言えば好きか嫌いで

観てもらって構わないと思っています。

まずは観てもらわない事には始まりません。

 

どこか書は「観る人=書をする人」に

なっているきらいがあります。

音楽にしても絵画にしても、

やらない人が聴いたり観たりするように、

書もまたそうなってほしいと願っています。

 

花を見ていきなり

「何でこの花はこんな形をしていて、なぜここに咲いていて、

どのくらいしたら枯れてしまうのだろう…」

などとは考えたりしませんよね。

 

書も同じです。

まずは何も考えずにじっと眺めてみてください。

その後考えてみたくなったら考えればいいのです。

無関心が一番もったいない。

 

だって、日本人のほぼすべてが文字を書けて、

その文字を素材としている芸術が「書」なのですから。

 

大げさに言えば、自分の「書道哲学」というものが

アレコレともっとたくさんありますが、

それは是非みなさんとお会いした時にでも

直接お話したいなと思っています。

 

「書が日本を救う」という具体的な理由もまた。

結局のところ、

どうして書を続けてきたかと言えば

「楽しい」からです。

 

そんな楽しさを第一に考えている作者の想いが、

作品から少しでも伝われば、

こんなに嬉しいことはありません。

 

単に表現者として

作品を作り続けることに興味はありません。

(もちろんそれを否定しているわけではなく)。

 

自分の命題は「書を使う」という事。

 

自ら書いて、あるいはみなさん自身に書いていただいて、

日常生活や一人ひとりの人生そのものに役立ててください。

 

芸術はそれ自身が、

生活をするにあたって最低限必須かと言えば、

きっとそうではないでしょう。

 

ではなぜ生まれたか、

きっと答えはそれぞれ違うでしょうし、

導き出すのも難しいのでしょうが、

「より豊かな人生」にするためにあることは

確かだと感じます。

 

まして書は言葉を表現する芸術ですから、

その影響力たるや想像以上です。

短いようで長い、長いようで短い人生、

広い目で見て歩んでいけた方がきっと楽しいはず。

 

自分がこうして

「心から楽しく書をできている書道家」として

活動しているのも何か意味があるのでしょう。

 

そして僕から生まれる作品が

一つでもあなたの目に触れたのなら、

そこには縁があるのかもしれません。

 

いずれにせよ、作品や活動通じて、

あなたの人生のささやかな幸せの応援ができたとすれば、

書道家冥利に尽きるというか、

人間に生まれてきた意味があったと言えそうです。

支えてくれる周囲の方々、作品を観てくれたみなさんに感謝しながら…

 

 

考える書道家になりたい書道家

(岩井颯雪)